尿がにおう(尿が臭い)
尿のにおいに関するお悩みは、相談しにくい問題かもしれませんが、体からの重要なサインの1つです。些細なことだと感じるかもしれませんが、尿の色や強いにおいに関して、どんな小さなことでも、どうぞ遠慮なくご相談ください。
尿がにおう原因について
尿の異臭は、腎臓から尿道にかけて、何らかの異常を発生しているサインにもなります。尿が異常なにおいを放つ原因としては、尿中に「糖」、「細菌」、「がん細胞」が混入していることが考えられます。
尿に糖が含まれている
糖尿病では、尿中に糖が混入することがあり、その結果、尿が甘い香りを放つことがあります。糖尿病が進行し、インスリンの不足によって体内の糖が適切に利用されなくなると、脂肪がエネルギー源として分解されます。この脂肪の分解によってケトン体が生じ、尿に混ざると甘酸っぱい香りがすることがあります。
尿が甘い香りを放つ場合は、高血糖が深刻な状態である可能性が高いため、速やかに医療機関を受診することが勧められます。
尿が細菌感染している
尿路系、つまり腎臓から尿管、膀胱、尿道に至る経路に細菌が感染すると、尿中の尿素が分解されてアンモニアのような強い臭いが生じます。このような感染症としては、膀胱炎や腎盂腎炎、前立腺炎、尿道炎などが挙げられ、尿が濁ったり、排尿時の痛みや発熱を伴ったりすることもあります。
尿検査では、尿蛋白や尿潜血が陽性となることが多く、これらの症状がみられた場合は迅速な対応が求められます。ご心配な点があれば、早めに医療機関を受診してください。
尿にがん細胞が出ている
尿路に位置する尿管や膀胱、または腎臓にがん細胞が存在する場合、尿の異臭が発生することがあります。尿中のがん細胞の有無を確認するためには、尿細胞診と呼ばれる検査が必要です。
この検査は通常の尿検査を通じて行うことができますので、気になる方はぜひご相談ください。
ダイエット中である
かつて、糖質制限ダイエットが流行した時期がありましたが、糖質を制限して生活すると、体の脂肪が分解されてケトン体が尿に排出されます。また、激しい運動により体内の糖質が不足すると、同じくケトン体が尿に現れます。このような状況下では、糖尿病の際にみられるように、尿が甘酸っぱい匂いを放つことがあります。
肝臓機能が悪くなっている
肝臓はアンモニアを無毒化する役割を担っていますが、肝炎や肝硬変によって肝機能が衰えると、この分解能力が落ち、体内にアンモニアが蓄積しやすくなります。その結果、尿からも強いアンモニアの臭いが感じられるようになります。肝機能の状態は血液検査や腹部のエコー検査でチェックすることが可能です。
食べたものや、
くすりの臭いが出ている
特定の食品や飲料には、尿の臭いを強くする性質があります。特に、カレーやニンニク、ニラ、コーヒーなどは尿に独特の臭いを与えることが知られています。また、アスパラガスは尿に硫黄のような臭いをもたらすことがあります。
さらに、抗菌薬や抗てんかん薬、ビタミン剤などの一部の薬も尿の臭いに影響を与えることがあります。これらの食品や薬を摂取しなければ、尿の臭いは落ち着くようになります。
頻尿・尿の臭いの原因を調べる検査
尿検査
尿中の尿蛋白や尿潜血、細菌、白血球などがないかをチェックします。尿細胞診を用いて、尿中にがん細胞が含まれていないかも検査可能です。
血液検査
血糖値やHbA1c、肝機能、腎機能、体内の炎症などを評価します。状況に応じて、腫瘍マーカーのチェックも行います。
超音波検査(エコー検査)
腎臓や尿管、膀胱に異常がないかを検査します。糖尿病腎症の患者さまの場合、進行度によっては腎臓の腫大や萎縮がみられることがあります。エコー検査ではこれらの状態も詳しく調べることができます。