糖尿病でのどが渇きやすい理由
血糖値が高くなると血液中の糖分が増えます。すると腎臓は糖を再吸収しきれず、糖が尿中に排出されます。糖が尿中に出る際、大量の水分も一緒に出されるため、尿量が増加します。結果として体内の水分が不足し、喉の渇きを感じるようになります。
多飲やのどの渇きは注意が必要な
状態です
多量の水を飲んだり喉の渇きが強まったりするのは、糖尿病がある程度進行し、合併症が発生するリスクが高まったサインです。最近喉が渇きやすい、水をよく飲むなどの自覚症状がある場合や、他の方からそのような症状を指摘された場合は、当院にご相談ください。
糖尿病以外に考えられる疾患
発熱
発熱は、ウイルスや細菌の感染によって引き起こされる一般的な症状です。喉の渇きだけでなく、食欲減退や下痢、頭痛、寒気などの症状を伴うことも多いです。
脱水症
脱水症は、水分の摂取が不十分であったり、下痢や嘔吐、過度の発汗、高温環境などにより体内の水分が不足する状態です。喉の渇きだけでなく、口の乾燥、めまい、血圧の低下、脱力感などの症状が現れることがあります。
もしご自分で水を飲むことが困難なほどぐったりしている時、または意識に異常がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
副甲状腺機能亢進症
副甲状腺ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる病気です。副甲状腺にできた腺腫やがんなどの腫瘍により、多量のホルモンが放出されることにより起こります。これにより、高カルシウム血症や尿路結石、骨粗しょう症などの合併症が発生することがあります。
特に高カルシウム血症の場合、喉の渇きや胸焼け、吐き気、頭痛、疲れやすさなどの症状がみられることがあります。
更年期障害
更年期障害は、通常45歳~55歳の間に起こり、日々の生活に支障をきたすほどの心身の症状が出現する状態です。閉経に伴い、エストロゲンの分泌が急速に減少することによって起こることがほとんどです。
喉の渇きや頭痛、頻脈、動悸、息切れ、耳鳴り、顔のほてりやホットフラッシュ、発汗、不安、イライラ、不眠、うつ状態などの症状がみられます。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は、ドライアイやドライマウスといった乾燥症状を特徴とする炎症性の病気です。しばしば喉の渇きも伴います。この病気は本来ならば体を守るはずの免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまう、自己免疫の異常によって引き起こされます。遺伝的要因や女性ホルモンのバランスの乱れ、ウイルスや細菌の感染が原因で発症することもあります。特に50代の女性に多くみられる疾患で、中年期以降に発症するケースが多いです。
尿崩症
尿崩症は、ホルモンの分泌異常により尿の量が大きく増加する病気です。尿の量が多くなると、体は水分不足を補うために喉の渇きを感じます。尿の排出量が摂取する水分量を上回ると、血圧の低下、心拍数の増加、吐き気などの脱水症状を引き起こすことがあります。
尿崩症には、脳腫瘍や外傷が原因の「中枢性尿崩症」と、腎機能の障害や遺伝的な問題が原因の「腎性尿崩症」の2タイプに分かれています。
薬の副作用
胃薬、高血圧治療薬、アレルギー薬など、一部の薬には副作用として喉の渇きを引き起こすものがあります。喉の渇きをもたらす可能性のある薬は数多く存在するため、医療機関を訪れる際には、お薬手帳や現在服用している薬をお持ちいただくようお願いします。
のどの渇きでお悩みの方は
ご相談ください
喉が渇いた際には、甘いジュースなどは飲まずに、水分補給は水やお茶で行うことを心がけてください。もし水やお茶を飲んでも喉の渇きが解消されない場合は、糖尿病をはじめとする病気の兆候である可能性が疑われますので、早期に医療機関への相談をお勧めします。診察時には、日頃からどのような飲み物をどれくらいの量で飲んでいるか、また喉の渇き以外に感じている症状があるかを医師に伝えてください。