痛風と高尿酸血症
高尿酸血症は血中尿酸値が慢性的に高まる病気です。ほとんどの場合、無症状ですが、長期にわたると針状の尿酸結晶が関節に蓄積し、痛風を誘発することがあります。また、痛風発作のみならず、高尿酸血症は腎疾患や尿路結石のリスクを増加させ、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める可能性もあります。尿酸値が高いと指摘された方は、医療機関を受診してください。
尿路結石について
腎臓から尿道に至るまでの尿路に尿酸などの成分が結晶化し、尿路に堆積すると、尿路結石が形成されます。結石は血尿や強い痛みの原因となります。
痛風の症状
痛風は、無症状期、急性発作期、間欠期、慢性期の4つの段階に分類されます。無症状期では、血液中の尿酸濃度が高いものの、症状は現れません。
急性痛風発作期には、大母趾基部(第1中足趾関節)での発赤(皮膚の赤み)、腫れ、熱感(熱っぽく感じる)といった強い痛みが現れ、通常は1週間ほどで和らぎます。
間欠期は、発作の間に症状がみられない時期です。
慢性痛風期には、痛風結節、腎障害、尿路結石などが合併することがあります。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症は、体内で尿酸が過剰に生成されるか、排泄が低下することで発症します。プリン体が豊富な食品の過剰摂取、代謝の異常、腎機能の低下、そしてアルコール摂取が、尿酸値を上げる主なリスク要因です。特にアルコールはプリン体が多く含まれ、尿酸値を増加させるため、摂取量には注意が求められます。
高尿酸血症の予防には、プリン体含有食品の摂取を控えめにし、アルコールの摂取を制限することが重要です。
痛風は、特に30歳~60歳の男性に多くみられ、女性では閉経後に増加する傾向があります。これは、尿酸排出を促進する効果がある女性ホルモンであるエストロゲンが減少するためです。健康を維持するためには、定期的な検査と適切な治療が不可欠です。
痛風に関しては、尿酸の結晶が体内に蓄積し、特に手足の関節で炎症を引き起こす病態を指します。関節は赤く腫れ、激しい痛みが伴います。アルコール摂取やストレスが誘発因子となることがありますが、痛みを感じない痛風結節が形成されることもあります。
高尿酸血症の治療
高尿酸血症の確定診断には、血液検査で血清尿酸値を測定します。血清尿酸値が7.0mg/dLを超える場合に治療の適応となります。しかし、尿酸値を急激に下げるとかえって痛風発作のリスクが高まるため、慎重に下げていく必要があります。
食事療法
尿酸値を適正に保つためには、カロリーコントロールだけではなく、プリン体を豊富に含む食品の摂取を控えることが勧められます。
ビールはプリン体の多いものと知られていますが、実際にはアルコール類全般が尿酸値を増加させるため、ビールだけでなく、あらゆるアルコール飲料の摂取を控えることが望ましいです。
運動療法
激しい運動は逆に尿酸値を上げてしまう可能性があります。運動をする際は、医師と相談して適切な種類やペースを決めて行うことが大切です。
薬物療法
血清尿酸値、痛風の既往、併存疾患の有無などを評価し、必要に応じて薬物療法を選択します。尿酸値の目標は6.0mg/dL以下ですが、目標値達成後も尿酸の結晶が体外に排出されるまで治療を継続する必要があります。
使用される薬には、尿酸生成抑制薬や尿酸排泄促進薬があります。尿酸値を急激に下げると痛風発作のリスクがあるため、徐々に下げることが重要です。
当院では、患者さま個々の状態に合わせて、適切な薬を選択し処方しております。